ひらめき集中塾とは
人はみな固有の個性が備わっていて、それぞれ役割と可能性を秘めた存在だと思います。『ひらめき集中塾』が最終的にめざすものは、物質的な目に見える形での改善の成果はもちろんですが、それ以上に「発達障害児の内面の光(=個性の光)」を輝かせるという目的があります。それは非物質的なエネルギーで、世の中に感化を及ぼせるほどのパワーを秘めています。それを科学的に根拠のないオカルトという向きもあるかもしれません。
余談ですが、ここで原始反射を崩し弱める発達トレーニング法「aZメソッド」という名称の由来をご説明させていただきます。aZは、まず「洗い堰」という琵琶湖から京阪神に流れる唯一の堰所(関門・ゲートで正式には南郷洗い堰といいます)の傍で「ひらめき集中塾」を始めさせていただいたことが名前の中に込められています。もう一つは、a〜Zまでのすべてを包み込んだメソッドでありたいと願ったからです。そして、三つ目が「洗い堰」の役割がまさに「流れを一旦堰き止め」違う流れを作り出すゲートなのです。
これは、発達障がい児のトレーニングのポイントとなる原始反射を崩す、(=すなわちパターンを崩し)人間脳優位へと組み替えていくことを目指す「ひらめき集中塾」の姿とまったく同じだと思ったからです。名称にはこの3つの意味を込めています。
そして、はからずも郷土の偉大な先人糸賀一雄さん(“障害福祉の父”と呼ばれる方)は、この南郷洗い堰を見下ろせる丘に近江学園を創り、そこを活動の拠点として出発されました。私がこの地で「ひらめき集中塾」がスタートしたのも何か大きな意味があったのだといつも感じております。糸賀さんは今から70年も前に、発達障がい児教育をスタートされ彼らの“光”エネルギーを喝破しました。それは、強いもの・知能が高いものが優位を占める大人の作り上げた社会システムが未だ戦争と貧困から人々を解放できない現実を、木っ端微塵に粉砕するほどの可能性を有していることを発見したのです。
社会的弱者へのいたわりや慈しみのこころあふれる社会を障がい児のために作りたいという思いはもちろんあったと思いますが、糸賀の場合は、けっしてそれが上からの目線ではなく障がい児の内面の光が及ぼす感化力に触れ、それこそが社会を根底から変えてしまうほど途方もないエネルギーを持っていることに気づいた点が特筆されます。
そして糸賀さんは「発達保障」という発達障がい者の知能面の成長・豊かさ・成熟へとどこまでも伸ばしていく努力を惜しまれませんでした。
“光”というと癒しエネルギーとは平安、愛、共感などの真情の豊かさを育む部分ばかり強調されますが、IQという知能面(タテの発達曲線)は、真情という(ヨコの豊かさ・広がり)と比例して、伸びていくことを発見されたからです。
もちろん、天才になるとまでは言ってませんが、こころの豊かさと広がりを育んでいくことで、伸びる余力は十分持っているという信念に揺らぎはなかったといいます。また、この教える側の努力、発達・成長への取り組みを放棄することは発達障がい児にとってはもったいないことです。「ひらめき集中塾」では、ヨコの広がりがやがてタテのIQの発達につながるように、様々な視点から発達障がい児に効果的なアプローチを試みております。
後の章でも書いたのですが、それは意外にもそんなに難しい取り組みではありません。「すでにすべて持っている」という構造から類推して、持っているものを発揮できない状態にあるので、その邪魔をしている余計なものを取り除くというアプローチです。
また、一方で健常者においても発達障がい児から感化されている親が増えています。お子さんを通じて殻を打ち破る人たちがたくさん増えてくれば、同じように障がい児に対する世の中の意識のシフトチェンジ(質的変換)を呼び覚ます変化が起こってくるでしょう。そこにおいて、本当の意味での福祉、糸賀さんがが目指した障がい福祉が実現するのだと思います。
発達障がい児を育てる親の目標は、そのためのプロセスであり、とても重要な使命をになった存在であると思います。「この子らを世の光に」それが実現する世界はきっと平和で安心な人類世界地平が広がっているに違いないからです。
○原始反射を崩す方法は、発達トレーニングの基本であり、効果があるといわれる様々なメソッドや刺激トレーニングもそこがポイントになっています。
それらは、自宅でも親がトレーナーのような感覚で実行すれば誰でも容易にできることです。この本では、基本構造を知ることでヒントになるお話しが満載です。じっくり何度も読み返しご自宅でのトレーニングに活用してください。
ひらめき集中塾塾長
柏原由樹
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